動脈瘤とは?

動脈瘤は血管の動脈内で起こる病気です。動脈のかべ(動脈壁)が何らかの原因で弱くなり、その部分が血流に押されて徐々に膨らむことで血管の一部がこぶ状になることから動脈瘤となります。

動脈瘤について

動脈瘤の多くは動脈硬化が原因といわれ高齢で高血圧や喫煙者はリスクが大きくなります。

また遺伝的に一親等内で家族歴がある場合も発症する確率が高いともいわれています。その他に感染症や外傷によっても発症します。

動脈瘤は血液の経路となる動脈の頭部、腕、胸部、腹部、および抹消部で発症します。それぞれ部位によって脳動脈瘤、胸部大動脈瘤、腹部大動脈瘤、抹消動脈瘤などがあります。

多くの場合、発症しても動脈周辺の神経への圧迫などの影響がない限り症状として現れないことがありますが、一旦破裂すると後遺症や死に至る場合が多く危険な病気です。

動脈瘤は一般的な定期健診などで発見されることは少ないですが、CT(X線コンピュータ断層撮影)やMRI(磁気共鳴断層撮影)の登場により容易に血管の状態を調べることができるようになりました。

そのほかにも血管造影、超音波等が利用されています。

これらの機器を利用して、外来受診でその日に判明する場合や数日間の検査入院という方法もあります。

さらに脳ドックと呼ばれる特定部位などの検診も盛んになってきており、未破裂状態で動脈瘤が検出されるケースも増えています。

動脈瘤が発見されてもすぐに破裂するというわけではありません。部位、形状、大きさなどの状態や経過を観察したり、その人の年齢や健康状態によって治療方法が検討されます。

手術をする場合は、主に切開し動脈瘤箇所をクリップで留めるクリッピング術、血管内にコイルやバルーンをつめる血管内手術などがあります。

その他にもガンマナイフという切開手術をしない治療で、脳が対象ですが特殊な放射線を病変部にだけ照射する方法もあります。

これらの施術は個々人の状態や状況によって選択されることになります。

動脈のメカニズムと動脈瘤

血液は心臓から送り出された直後に動脈の血管(大動脈)から上行大動脈、大動脈弓、下行大動脈という部位に流れます。上行大動脈は心臓から送り出された血液が頭部方向に上行する部分です。

上行した血液は弓なりに曲がりますがその部分が大動脈弓で頭部や腕などに分岐します。大動脈弓から下行し下行大動脈に流れます。

下行大動脈は胸部大動脈として気管支など胸部に入り、さらに下行し腹腔の後ろ側を通り腹部大動脈に流れます。最終的に大動脈は左右の総腸骨動脈に分岐します。

動脈瘤は大動脈に沿ってどの部位にもできますが、腹部を通過する部分が最も多く発生しています。その次に胸部で発生しています。

その他に膝窩(しっか)動脈といわれる膝の裏側(膝の裏側のくぼんだところ)を通っている動脈経路、大腿動脈は太ももへ供給されている動脈経路、脳動脈は脳への動脈経路、頚動脈は頭部への動脈経路、冠動脈は心筋への動脈経路でそれぞれ発生します。

高齢になると特に動脈が分岐する箇所や膝窩動脈などの強い圧迫を受けやすいところで発生しています。さらに高血圧や喫煙は動脈瘤になるリスクをさらに高めているということになります。

動脈瘤といっても2種類の形状があります。紡錘状と嚢状です。

紡錘状は血管の管を取り囲むようにして瘤状に形成されたものです。嚢状は血管の一部にぽつんと飛び出した瘤のようにできるものです。 また瘤の壁の構造によっても、真性瘤、乖離性瘤、および仮性瘤と分類されています。

真性瘤は、元々の動脈壁が弱くなってできた瘤が見られるもので紡錘状と嚢状があり、ほとんどがこの真性瘤です。これが最も危険な症状で、未破裂状態のときはまったく自覚症状はありません。

解離性瘤は、大動脈壁の解離によるもので紡錘状です。(大動脈乖離)仮性瘤は、動脈壁が裂けて穴が開いたところへできた瘤で嚢状です。外傷や感染が原因です。

大動脈瘤の紡錘状の場合、大動脈の径が正常の1.5倍以上が対象となります。従って胸部大動脈は45mm以上、腹部大動脈は30mm以上が対象です。そして嚢状の場合は瘤と判断されれば大きさに関係なく対象となります。

手術して処置が必要となるのは、紡錘状の胸部大動脈瘤が50〜60mm以上、腹部大動脈瘤で40〜50mm以上が目安になっています。また嚢状の場合は大きさの進行具合によって判断されています。ただし、破裂した場合は大きさに関係なく即座に手術の適用となります。

動脈瘤イメージ

動脈瘤の発生原因

動脈瘤は血管が構成される内膜、中膜、および外膜の三層構造のうち、内膜から中膜の動脈壁が弱くなってその部分が血流に圧され拡張するためです。

動脈瘤の原因は、代表的なものとして動脈硬化、その他に梅毒、炎症性疾患、特発性のう胞性中膜壊死、外傷などが挙げられます。

動脈硬化は、動脈壁が厚く硬くなった状態で、粥状動脈硬化と細動脈硬化があります。

粥状動脈硬化は血液中のコレストロールなどがおかゆ状の固まりになって血管の内膜に沈着し弾力性がなくなります。血管の中膜層まで硬化が侵攻すると断裂や壊死が起こり大動脈瘤となります。細動脈硬化は喫煙などで末端の細い動脈の収縮性が失われ硬化するものです。

梅毒は以前多かったもので、病原菌が皮膚や粘膜の傷口から感染し、年月とともに徐々に全身に広がります。特に大動脈壁の中膜などに病変ができて壊死を伴うと大動脈瘤の要因になります。

炎症性疾患は、大動脈壁の炎症から動脈瘤になるものです。炎症の原因は免疫異常や膠原病、細菌感染などで、40代以下の若い世代に多いのが特徴です。

特発性のう胞性中膜壊死は、先天性の影響によるとされるもので大動脈壁の中膜が変性していることに起因します。20〜40代で上行大動脈瘤を発症する場合があります。

マルファン症候群という上行大動脈の変性や手足の指がクモのように細長くなるなどの症状の遺伝性疾患の患者が発症しやすいといわれています。外傷は、事故などで胸部や腹部の強打や圧迫から大動脈に亀裂が生じ、仮性大動脈瘤が発生する場合です。

動脈瘤を予防するには

日常生活において血管への負担を軽減することが重要です。特に血圧が高くなると血管の膨張などにより破れたりする恐れがあります。

以下の対象項目について生活習慣の改善を図り血圧の安定や動脈硬化が起こりにくい体力づくりが必要です。

飲酒の適正量:
1日あたりの飲酒量をビール=大瓶1本、日本酒=1合(180cc)、ウィスキー=シングル1杯分などに制限し、許容量以上の摂取をしないようにします。アルコール類の過剰摂取は肝臓への負担が増加するだけでなく、余分なコレストロールを蓄積する原因となります。

禁煙:
禁煙するのがベストです。喫煙は動脈硬化の原因で、血流の低下となります。

運動の継続:
個人差はありますが、ウォーキング等軽い運動を日々継続することが必要です。

睡眠時間の確保:
日々仕事や家事などに追われ、睡眠時間が減少している場合は、規則的な生活のリズムを作り精神的なストレスを軽減することが必要です。

排便時のいきみ:
排便時のいきみが長いと血圧上昇の原因となります。スムーズな排便ができるよう適度に水分を摂り定期的に排便するようにし便秘しないように配慮します。

入浴時の温度や時間:
脱衣所、洗い場の温度が極端な差がでないよう暖かくしておきます。また入浴中の温度も熱い湯に入らないようにします。

寒さ対策:
寒暖の差が激しいと血管が収縮して血圧上昇につながります。室内と外気の温度が小さくなるように衣服の調整をしっかりします。

衣服による身体の締め付け:
ベルトやタイトな衣服で身体を締め付けず、少し余裕のある服装を着るようにします。

食事の改善:
偏食はしないでバランスの摂れた食事に心がけます。特に基礎知識をつけて食事することが必要です。特に油分の多いコレストロールを含む食事は少なくします。

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